留学や大学入学の願書の条件をクリアするためにIELTSオーバーオールスコア6.5を目指して日々勉強している方も多いのではないでしょうか。しかしオーバーオールスコアで6.5を取るのはなかなか難しいですよね。
そこで本記事では、SOLO IELTS TOEFLのルーク先生に「オーバーオールスコア6.5を取るために重要な5つのこと」を解説していただきました。後半では、英語の各技能(リーディング、リスニング、ライティング、スピーキング)の勉強法もご紹介します。
※本記事は2022年5月19日のオンラインセミナーを元に作成しました。
講師のご紹介
Luke Mitsumine(光峰ルーク)先生(SOLO IELTS TOEFL創業者・代表)
SOLO IELTS TOEFLは、IELTSやTOEFLなどの資格試験対策を提供しているオンラインスクールです。ルーク先生は年間数百名のIELTS受験者を指導されています。
【プロフィール】日本とオーストラリアをルーツにもち、幼少期から両国を行き来しながら育つ。青山学院大学文学部英米文科を卒業後、オーストラリアにある日本企業に勤務。自身の語学スキル、また外国語を学ぶ苦労をした経験を活かし、英語試験(IELTS、TOEFL)の受験生をオンラインでサポートする会社SOLO IELTS TOEFLを立ち上げた。「スコア戦略を含めた専門的な知識で、学習者の弱みを分析し、効果的な手順で知識と技術を日々のスケジュールに落とし込み提供する」のが特徴。言語習得、人類学、サーフィン、ボルダリングなど趣味も多彩。新たな生徒さんとの出会いを楽しみにしているフレンドリーで、英語教育に熱心な先生。
① IELTSで最も大切なのは「諦めないこと」
IELTSは、数週間の対策でスコアが上がる試験ではありません。オーバーオールスコアを0.5上げるだけでも、半年ほどかかる人もたくさんいます。
また、1回目の受験で目標スコアを取れることは、まずありません。多くの方が何度も受験をして、やっと6.5や7.0に到達しています。
IELTSは長期戦ということを頭に入れておくと、すぐに結果が出ないからといって心が折れてしまうことを防げるかと思います。精神論のように聞こえるかもしれませんが、IELTSでは「諦めずにトライし続けること」が非常に重要です。
② 一度IELTSを受験すること
IELTSの学習計画を立てるにあたって、まずは一度受験をして、自分の実力を確かめることが大切です。自分の実力がわからないと、目標スコア到達に向けてどのような対策が必要になるかもわかりません。
実際に受験して初めて気づくこともたくさんあります。たとえば、スピーキングテストでは試験官が無愛想で、緊張して実力が出せなかったなど、想定外の出来事を体験してみるという点でも、ぜひ一度受験してみてください。
③ 「リーディングとリスニング」で7.0を取れるようにしておくこと
オーバーオールスコア6.5を目指すのであれば、「リーディングとリスニング」のバンドスコアで7.0以上を取ることが望ましいです。
「スピーキングとライティング」のスコアが「リーディングとリスニング」のスコアを超えることは、難しいです。オーバーオールスコアを引き上げてくれる「リーディングとリスニング」で安定して7.0以上を取らない限り、オーバーオールスコアで6.5を取ることは難しいのです。
「リーディングとリスニング」は一人でも対策しやすく、言ってしまえば根性で何とかなる領域です。自分でできることを確実にやっていきましょう。
ただし、やみくもに練習問題をこなすだけでは、問題形式に慣れることはできでも、肝心の英語力アップには繋がりません。本記事の後半で具体的な対策方法をご紹介するので、参考にしてください。
④ 苦手技能に7~8割の時間を費やすこと
オーバーオールスコア5.0-5.5を目指すのであれば、リーディング、リスニング、ライティング、スピーキングの中の得意な技能を伸ばしたほうが、効率よく目標スコアに到達できると思います。
しかし、6.5以上を目指す場合は、苦手な技能の克服を含めた英語4技能すべての対策をしないとなかなか到達できません。苦手技能に多くの時間を割いて対策するようにしましょう。
⑤ IELTSに向けた具体的な対策をすること
ここからは具体的な勉強方法について解説します。
リーディング対策:一文をしっかりと理解できるようにする
IELTSのリーディングテストは、長文を何となく理解しただけでは解答できないように作られています。一文一文をしっかりと理解して読解力を上げるための3つの勉強法をご紹介します。
|ボキャブラリーを増やす
普段の勉強で知らない単語が出てきたら、意味を調べて、単語カードやスマートフォンアプリなどにまとめて、しっかりと覚えるようにしてください。
また、IELTSには固有名詞が頻繁に登場します。固有名詞はGoogleの画像検索を使って、実際にどのようなものか調べてみてください。
ボキャブラリーに自信がない人は、単語帳を1冊やりきるのもひとつの手ですが、単語帳を使ったからといってスコアが上がるわけではないので、注意が必要です。
|文章の構造を理解できるようにする
英語の文型「SVOC」をつけて、文の構造を読み取る力も大切です。自信がない人は大学受験用の構文解釈書を参考にしてみてください。
|文章の意図を理解できるようにする
IELTSリーディングテストでは長文を読み、「筆者はこういうことが言いたいんだよね」と理解する力が求められます。抽象度の高い文章を読む訓練をしていないと、リーディングで6.5以上を安定して取ることは困難です。
対策として、YouTubeで長文のトピックに関する動画を視聴することをおすすめします。ナショナルジオグラフィックやBBCEarthなどのコンテンツを使って予備知識をつけることで、抽象的な文章を読んだ際も、筆者が本当に伝えたいことをイメージできるようになります。
リスニング対策:ディクテーションをする
ディクテーションとは、音声を聞き、内容を書き取る学習法です。IELTSリスニングテストで必要な「英語を聞き取る力」と「聞いた内容を記憶する力」を同時に鍛えることができます。
【ディクテーションのやり方】
1周目に音声を聞く際は、2~3単語しか書き取れなくても大丈夫です。
2周目に聞く際は、ペンの色を変える、もしくは1周目に書いたものの下に書き取ります。そうすることで、1周目と比べてどれくらい聞き取れるようになったかがわかります。
3周目に聞いても聞き取れなかった(書き取れなかった)ところは、本当にわからないところです。ここで初めて原稿を見て答え合わせをしてください。
ライティング対策:7.0のエッセイを目指す
ライティングのバンドスコアに関しては、すべての人が7.0を目指すべきだと思っています。なぜなら、7.0を取って初めて「良質な展開と構成のエッセイ」といえるからです。
IELTSを受ける皆さんは、恐らく留学を視野に入れているかと思います。IELTSは通過点であり、ゴールではありませんよね。留学先では4,000~5,000単語のレポートが待っています。IELTSを通して「良質な展開と構成のエッセイ」を書くスキルを身につけておくと、留学先でも非常に役立ちます。
そこで、タスク2で7.0のエッセイを書くための4つの柱をご紹介します。
|導入(イントロダクション)がある
いきなり自分の意見を書き始めるのではなく、まずは問題の背景を述べます。「なぜその問題があるのか」という背景を述べたら、問題文を書き換える形で(パラフレーズ)自分の立場を述べます。
|自分の立場が一貫して明確である
たとえば、導入で賛成の立場をとったにも関わらず、本論(ボディパラグラフ)を読んでみると自分の立場がハッキリしない、ということがないようにしましょう。
|客観的な具体例を”具体的に”挙げている
個人的な事例ではなく、一般論としての例を使うことが大切です。「私のお兄ちゃんが....」というような例では採点者に伝わりません。誰が読んでも納得できる例を書きましょう。
|反対の意見を取り入れる
自分とは異なる立場の意見にも触れつつ、自分の意見を展開しましょう。
ちなみに「まずはバンドスコア6.0を取得したい」という人は、とにかくスペリングや文法ミスをしないように、時間内で250単語書き切ることに専念してください。
また、タスク1については、参考書を使って対策することをおすすめします。
▼6.5以上を目指す方におすすめの参考書▼
本番さながらの難易度と質を再現した「IDP Education IELTS公認問題集」
自分の英作文が正しいかどうか、独断では判断しづらいと思うので、オンラインの添削サービスなどを利用することもおすすめです。
IELTSの専門家による添削サービス”IELTS Writing Assist”
スピーキング対策:よく出るトピックで話す練習をしておく
意外かもしれませんが、スピーキングは独学で対策が可能なセクションです。よく出るトピックや質問さえわかれば、自分なりの解答を作って練習を繰り返すことができます。
IELTSスピーキングテストは、パート1・2・3と難しくなっていくので、パート1から対策を始めてください。
【パート1のポイント】長く話しすぎない
パート1では「質問に対する事実」を2~3文で答えることが求められます。聞かれていないことまで話してしまう人がいますが、無理に長く話す必要はありません。
【パート2のポイント】2分間で英語力をアピールする
パート2は与えられたトピックに関して、2分間でスピーチをします。試験官は受験者の英語をじっくりと聞くことになるので、パート2でいかに英語力をアピールできるかどうかが、スピーキングのバンドスコアに大きな影響を与えます。
スピーチの構成として、過去、現在、未来の順番で物語を話すと、試験官に伝わりやすくなります。たとえば「あなたの尊敬する人物」というトピックに対しては、以下のような流れで話を展開します。
私は母を尊敬しています、なぜなら....
(過去)昔は、母と~しました....
(現在)今は、~という関係です....
(未来)将来、私も母のような人になりたいです。
2分間通して話すことが難しい人は、まずは30秒間止まらずに話す練習から始めて、徐々に時間を伸ばしていきましょう。
【パート3のポイント】具体例を挙げる
パート1と2では受験者個人に関する内容を話してきましたが、パート3では社会問題についてディスカッションをします。
パート3では、具体例を挙げて話すスキルが求められます。もし一般的な具体例が思い浮かばないときは、以下の方法が役立ちます。
自分の意見と反対の意見を紹介する
“It depends”と、複数の状況を説明する
実例でなく、仮の話をする
【スピーキングテストに向けたアドバイス】
バンドスコア6.0を目指す人は、複文(主語と述語が2つ以上入っている文)を使って話すことを心がけてください。関係詞、接続詞、仮定法を用いて、途中で止まらずに話すことが求められます。
7.0を目指すのであれば、発音と語彙力を強化していく必要があります。頻出トピックで使える「難しめの英単語」をおさえておきましょう。
たとえば「尊敬する先生」というトピックでは、以下のようなボキャブラリーを積極的に使うことで、語彙力をアピールできます。
enhance understanding
motivated
positive effect
compassionate
engage students
dedicated
オーバーオールスコア6.5を取るために必要な5つのことについて、今一度おさらいしてみましょう。
諦めないこと
1度IELTSを受験すること
「リーディングとリスニング」で7.0を取れるようにしておくこと
苦手技能に7~8割の時間を費やすこと
IELTSに向けた具体的な対策をすること
IELTSオーバーオールスコア6.5への道のりは長いものになると思いますが、毎日コツコツと勉強を積み重ねることできっと到達できます。皆さんのIELTS受験を応援しています!
IDPでは、IELTS対策の無料オンラインセミナーを定期的に開催しています。ぜひご活用ください。オンラインセミナーの最新情報はこちら