IELTSスピーキングは、英語の試験でも比較的珍しい、対面式の試験です。いざ、IELTSスピーキングの対策をするぞ、となった時、いったいどこから始めたら良いのか、途方に暮れると思います。
そこで英会話レッスンや専門学校などに頼る人も多いと思いますが、いきなりそれをするのはコストも時間もかかってしまいますので、まずは独学でしっかり対策をして、足りないところを補う形で専門家に頼るのがいちばん効率が良いでしょう。
独学でスピーキングとは？と疑問に思われる方も居るかもしれません。ひと昔前であれば、 スピーキングやライティングといったアウトプット技能を独学で対策するのは難しかったものですが、今はChatGPTを始めとするツールが存在しています。
ツールをうまく使いこなせば、問題の壁打ちから添削まで、スピーキング対策の多くの部分が自宅で出来てしまいます。
本記事では、ChatGPTを活用してIELTSスピーキングの壁を越え、効果的にスコアを伸ばすための新しいアプローチをご紹介します！
※本記事は、2024年2月21日のIDP Zoomセミナー～ChatGPTでスピーキングの壁を越える：新時代のIELTS対策〜を元に寄稿いただいています。
IELTSスピーキング対策を独学でする6つのメリット
最新ツールを使って独学でスピーキング対策をするメリットは6つあります。
気を遣わない
相手が人でないため、気を遣わずに何度も同じことを聞いたり、指示できる。文字起こしで可視化できる
スピーキングの解答を文字起こしすることで、自分のスピーキングを客観的に見られる。数をこなせる
コストや時間を気にすることなく、圧倒的な数をこなすことが可能。余計な時間が取られない
いつでも、どこでも、スピーキング対策が行えるため、レッスン前後の時間などを省くことができる。自分に合った問題と解答を使える
レベルに応じた練習問題や模範解答の作成ができる。効率よく伸ばせる
自分の弱点を集中して伸ばすことが可能。
IELTSスピーキング独学に適した3つの最新ツール
独学で、IELTSスピーキング対策することにおいて、効果的な学習ツールを選ぶことは、とても重要な要素です。様々な学習ツールの中から、スピーキング対策に効果的なツールや、スピーキングの具体的な学習方法を説明していきます。
今回、紹介する３つのツールは、全て無料でも使えるアプリなので、スマホ1台でIELTSスピーキングを鍛えることができます。まずは、それぞれの特徴を解説します。
①ChatGPT
世界中で利用されている万能AIツールです。文章やストーリーや画像といった様々なコンテンツを生成できます。IELTSスピーキング対策においては、的確に指示することによって、言い換え、添削、模範解答や練習問題の生成など、様々なことに応用できます。
②NOTTA
高機能な文字起こしと録音を同時に行うことができるアプリです。自分の発話を録音しつつ文字起こしを行うことで、発音や文法の誤りを可視化できます。さらに、保存されたテキストを用いて後から復習することも可能です。
③NaturalReader
テキストを自然な音声で読み上げるツールです。IELTSスピーキング対策では、このツールを利用して、自分の解答や模範解答を聞くことで、自然な発音やイントネーションを模倣する練習にも活用できます。
ツールを使ったスピーキング独学4ステップ
先ほど紹介した3つのツールを使って、スピーキングを練習する方法を4ステップで説明していきます。
STEP1. 自分の解答を録音＆文字起こし（NOTTA）
最初のステップとして、NOTTAアプリを使用してIELTSのスピーキングセクションの質問に対する自分の解答を録音＆文字起こしします。
STEP2. 良い解答へと言い換えてもらう（ChatGPT）
NOTTAで文字起こしした自分の解答をコピーし、ChatGPTにペーストします。そして、プロンプト（指示文）を入力して、良い解答へと言い換えてもらいます。
→プロンプト例 『上記は、IELTSスピーキングpart3の「Is your country safe?」という質問に答えた私の解答です。スコア7.0が取れる解答に言い換えてください。』 ChatGPTが作った解答が難しすぎる場合は、より簡単な文章に言い換えてもらいましょう。
→追加プロンプト例 『もう少しだけシンプルな英語でお願いします』
STEP3. 読み上げてもらう（NaturalReader）
ChatGPTによって改善された解答をNatural Readerに入力し、音声化してもらいます。これにより、自然な英語のリズムやイントネーションを耳で学ぶことができます。また自分が録音した音声を比べて、発音の正確性を確かめます。
STEP4. IELTS専門講師にフィードバックをもらう（有料）
最終ステップとして、改善された解答を実際のIELTS講師に聞いてもらい、具体的なフィードバックを受けます。現時点では、やはりChatGPTはIELTS試験を100%理解しているわけではなく、採点基準に基づくフィードバックは難しいと言えます。
IELTSの採点基準を理解している人、できれば日本人IELTS講師に依頼するといいでしょう。講師からの添削は有料になりますが、自己評価では見逃してしまうかもしれない細かな点を改善するために非常に重要です。
IELTS講師からの評価と指摘をもとに、自分の解答を分析、弱点をあぶり出し、それを補強するトレーニングを行いましょう。これらの４ステップを繰り返すことで、スピーキング力を効率良く伸ばすことができます。
ChatGPTを使ったスピーキング対策
ChatGPTは、前章で説明した文章の言い換えの他に、IELTSスピーキング対策において多方面か独学をサポートしてくれます。この章では、ChatGPTを利用して模範解答を作成したり、練習問題を生成したり、効果的な表現を学んだりする方法を詳述します。
1. 模範解答を作ってもらう
ChatGPTを使用して、特定のトピックに対する質問を入力し、その解答を模範解答として生成してもらうことができます。問題集の模範解答の問題点は、英語上級者向きに解答が多く、初中級者には難しすぎることが挙げられます。
ChatGPTでは、模範解答のレベルを指定することができるため、自分が実際にスピーキング試験で使える表現を学ぶことができます。
プロンプト例：模範解答
『上記のIELTSスピーキングPart3の問題に対する模範解答を作成してください。レベルは英語中級者程度です。模範解答の日本語訳をお願いします。』
ChatGPTが作成してくれた文章に対して、さらに指示を出し、長さや難易度を変えたりすることで、自分用の模範解答を作成できます。
2. 練習問題を作ってもらう
ChatGPTは、IELTSスピーキング練習問題を作成するのにも役立ちます。ユーザーは、IELTS頻出トピックに焦点を当てた質問を要求することができ、それに応じてChatGPTが練習用の質問を生成します。
例えば、「環境問題」といったトピックに対して、ChatGPTは関連するサブトピックや質問を提示してくれるので、実践的な壁打ち練習を行えるようになります。これにより、試験の日に備えて幅広いトピックに対する対応力を高めることが可能です。
プロンプト例：練習問題
『IELTSスピーキングのパート1のような問題を英語で複数作ってください。トピックは環境問題です。』
3. 良い表現を教えてもらう
ChatGPTで作った模範解答中から、特に効果的なフレーズや単語を、日本語訳や例文付きで抜き出すことができます。
例えば、環境問題についてのトピックで「sustainable practices」というフレーズが使われた場合、このフレーズがどのように他の例で使われているかがわかります。
模範解答を見るだけでなく、使えるフレーズをストックしておくと、IELTSスピーキングで求められる表現を学ぶことができます。また使えるフレーズを抜き出しておくことで、復習にも役に立ちます。 プロンプト例：表現をピックアップ
『上の解答の中から、私が6.0を取るにあたって、覚えておいたほうが良い表現を、リストアップしてください。日本語訳と例文と一緒にお願いします。できるだけ短いフレーズ単位でお願いします。』
複数の表現の中から、自分が覚えたい・使いたい表現だけを選んで学んでいくと、より効果的です。
最後に
本記事では、IELTSスピーキングの独学に役立つ最新ツールの使い方をご紹介しました。スピーキングって本当に独学でできるんだな、と実感していただけたならうれしいです。
私の英語学習に関する考え方は「独学9割、レッスン1割」です。これはIELTSスピーキングだけではなく、英語学習全般に言えます。
これまでになくAIやツールが発達した現代では、独学でスマートに学習することが簡単になってきています。 ぜひこの記事を参照して、ツールを賢く使いこなし、効率的にスピーキング対策をしてくださいね！
IELTSの独学対策方法をもっと知りたい方へ
こちらからKumiko先生の7日間の無料メール講座 をご受講いただけます。
公式サイトKumikoの英語道 では「英語の道を極める」というコンセプトで英語力を伸ばす方法や考え方などを発信されています。ぜひご覧ください。
記事を書いた人：中林 くみこ先生（IELTS講師/起業家）
カナダで語学学校を起業、10年経営
5,000人以上にIELTSを始めとする英語指導
カナダで初めて日本人特化のIELTSコースを設立
明日香出版社よりIELTS対策本を出版予定
現在、IELTSオンライン講座を主宰・指導
「AI×英語学習」のテーマで教育機関や企業でのセミナー