スタートアップ企業でマーケターとして働きながら海外大学院の夢に踏み出した蓉子さん。最初に直面した壁は、出願要件の英語試験でした。大学受験以来の英語の勉強の道のりはけして平坦ではなかったと言いますが、スコア達成を信じて勉強し続けた400日を越え、ついにIELTS7.5を達成! 本記事では、そんな蓉子さんに勉強法やスケジュール管理法、モチベーションの保ち方をお聞きします。
※本記事は、2024年6月27日に行われたIELTS Lounge を元に作成しています。
志望大学院の出願最低要件は、TOEFL100 or IELTS7.0
なんとか2024年に入学(そのためには2023年秋冬出願が必要)したかった私は、大学院受験を意識した2022年頭から早めに受験の意志を共有し、その年に持っていた仕事をやり切った上で2023年1月から半年間休職させていただくことにしました。英語のスコアメイキングに集中するためです。
大学受験や就活時にTOEICを勉強して以来英語の勉強は一切しておらず、現在地を知るために受けた最初のTOEFLスコアは120点中、52点*。出願要件であるTOEFL100/IELTS7.0にはほど遠い数字でした。*TOEFL42~71=IELTS4.0-5.0
休職期間の前半(1月〜3月)は日本で単語力と基礎を取り戻すことに注力し、TOEFLスコアを52→87まで上げてから、後半(4月〜6月)フィリピンの語学学校TOEFLコースに行きました。海外ならではのトラブル洗礼を浴びつつ(笑)Slackから離れて英語の勉強に集中することができましたが、TOEFLは93までしか到達できず目標の100には届かずでした。このあたりから受験計画はどんどん後ろ倒しになっていきます(笑)
スコア達成が間に合わぬまま復職を迎え、通常の社会人に。英語スコアに加えて出願準備も始まってくるので、ここからが地獄の始まりでした。
2023年の8月、TOEFLで大幅に試験形式の変更があったので、IELTSにチャレンジしてみました。結果はオーバーオール6.5。あと0.5ならなんとかあげられるかもしれないと思い、IELTSに切り替えて目標の7.0を目指すことにしました。
でも、ここからが長かったです! このあと、13回連続で6.5を経験しました。受験したことがある方はわかると思いますが、4技能全てでベストパフォーマンスが出せる確率は問題運もありますし、0.5という数字に到底似合わない長い時間がかかりますよね(笑)。私の場合、得意のListeningとReadingを最大限まで伸ばし、Speakingをなんとか0.5を上げることで、7.5に到達しました。
ちなみに7.5を達成したのは、IDP IELTS 東京テストセンターでした。スタッフの方が優しくて、穏やかな気持ちで試験に臨めました。また、出願期間真っ最中だったので試験結果が約1日でわかるというスピード感も本当に助かりました。
最初は量をこなす。記録と分析で自分ならではのIELTS TIPSを蓄積
対策は、無料でIELTSの模擬試験が解けるサイトを活用し、最初はとにかく量をこなしました。すべての基礎になる単語は、TOEFL時代から使っていた「TOEFL英単語3800」をベースに。最後の追い込みは、IDPの予約特典動画でもIELTSの解説講師を務める小谷延良先生が出している「リーディング完全攻略セット」の②リーディング超厳選語彙リスト 900 (電子版)を何周もしました。
ノートには、単語テキストには出てこないけれど、模擬問題の中で出会った単語を書き溜めていました。また、覚えたい単語はA4のコピー用紙に手書きしたものを持ち歩き、信号待ちやバスの中でも見返していました。(リアルな勉強生活の様子はInstagramへ)
私の勉強スタイルは、4技能を通じて「とにかく量をこなし、間違った問題を分析して記録する」でした。そこから学んだ気づきすべてをスプレッドシートに細かく記録。人間はすぐに忘れて同じミスを繰り返してしまうものですが、記録を何度も振り返ることで次は気を付けようと意識できます。また、溜まった記録は自分専用のIELTS TIPSになるので、試験前ギリギリまで見直し、同じミスを繰り返さないようにしました。
ここから、各技能の細かいポイントをお話します。
Reading
解き終わった問題の音読は3回
間違った問題を分析・記録
わからなかった英単語をノートに記録
苦手なテーマを把握・重点的に周辺ワードを調べる
60分で3つのパッセージを解くReadingは、1パッセージあたり20分が目安ですが、私は練習時にタイマーを17分にセット。理由としては、本番で難易度が高いパッセージに当たってしまった場合、そこへ重点的に最大23分まで時間を使う判断ができるようにするためです。
また、そうでない場合でも残った時間を少しでも正解率を上げるための見直しに使えるようにしました。
解き終わったパッセージは、3回音読しました。音読で詰まる=発音がわからない=Listeningでも聞き取れないし、WritingやSpeakingでも使いこなせないということなので、丁寧にかみ砕き、自分のものにしていきました。
また、苦手なテーマは、その周辺の単語学習や前提情報も合わせて学習しました。前提知識があるのとないのとではReadingの理解度が全然違います。例えば私の二大苦手テーマは宇宙と世界史だったので、図解や年表を英語で検索して慣れるようにしていました。
↑スプレッドシードの記録
Listening
わからなかった英単語をノートに記録
スクリプトを音読3回
間違った問題を分析・記録
空き時間にひたすら繰り返し聴く
余裕があればシャドーイング
Readingと同様、とにかく量をこなし、解き終わったあとの音読・分析を徹底しました。聞き取った単語を直接入力するタイプの問題が苦手で、複数形のsが抜けてしまう、聞けたのにスペルがわからないというミスが多かったので、リストアップして見直しました。
ある程度の量を解いたら、最後の追い込みは同じ音源を何度も聞きました。シャドーイングは時間がかかってしまうので、余裕があるときのみ実施。働きながらのIELTS勉強だったので、自分が使える時間の中で最適な勉強法を追及することを意識していました。
Writing
独自ルール・採点基準を知る
書く&添削をとことんやる!
Synonym(類義語)を増やす
IELTSで汎用性の高いテーマは暗記レベルでたたきこむ
まず、評価されるポイントを押さえました。ライティングの評価基準には、25%ずつ
タスクの達成
論理的一貫性とまとまり
文章の幅広さと正確さ
語彙の豊富さと適切さ
が入っています。そして、Task1は客観的、Task2は主観的に書くことが求められ、Task2の方が配点が高いという特徴があります。
とにかくアウトプットが大事だと思い、フィリピンでの3ヶ月で書く→先生に添削していただくというループをまわしました。約300のお題を書き、基本的な型をマスター。汎用性の高いトピックに関しては、何度も書いて、暗記レベルで主張と理由を自分に落とし込みました。
それから、1つの単語を他の言い方で表現できるよう、類義語の語彙も増やしました。特に私はグラフが苦手だったので、表現方法をストックさせ、グラフ周りの表現は瞬発的に出せるようにしました。
添削にはChat GPTも活用しましたが、Chat GPTにはIELTSの採点基準は搭載されていないので注意です。Chat GPTは、プロンプト(指示)が重要です。
Speaking
独自ルール・採点基準を知る
全お題に対して自身の経験を落とし込んだエピソードを作り置き
毎日話す、何度も何度も繰り返して叩き込む
汎用性の高い理由については暗唱レベルで言えるように
よく使うエピソードのみでもいいので発音を完璧に
Speakingは昔から一番苦手でした。Speakingの採点基準である
流暢さ
語彙力
発音
文法知識と正確さ
のうち、①流暢さ ③発音 が苦労したポイントでした。
まず行ったのは、Chat GPTを活用し、お題ごとに自分のエピソードを織り交ぜた回答を300ほど用意。とにかくアウトプットを重ねました。
追い込み期には、仕事が始まる前にお友達と朝8時にZoomをつなぎ、1人10分ずつ交代で話していました。口に出すことで、自分の脳みそにどんどん英語の回路をつくるイメージです。
私の最終的な作戦は、回答を暗唱レベルで覚えることでした。どんな質問にも使えそうな汎用性の高い回答を用意し、とにかく耳コピ。夜のオフィスや帰り道で歩きながら唱えたり、洗面所の鏡の前でぶつぶつ言ったりして、落とし込みました。その結果、Speakingを約半年で0.5上げることができ、7.5達成の大きな決め手になりました。
いつ達成できるのか?自分でも見えないまま仕事との両立に必死だった日々
フルタイムで働きながらの受験だったので、勉強できる時間をいかに捻出するかの勝負でした。
基本スケジュール
平日:6時起床、9時始業、24時就寝の枠組みの中で、6時間
休日:勉強と大学院受験の進行に集中する時間を最低11時間
平日は仕事によってスケジュールが変動するので、固定の勉強時間スケジュールを定めるよりも合間に取り組み、合計6時間を捻出することを意識しました。その代わり週末は最低11時間英語に触れる時間を確保。2023年は誕生日もクリスマスも英語の勉強と大学院の出願エッセイ執筆にあて、年末は初めて実家に帰らず、英単語をつぶやきながら新年を迎えました。
ただ、英語は長期戦なので、睡眠時間を削って極限状態で行うのは現実的ではありません。仕事でも試験本番でも毎日最高のパフォーマンスを出すために、受験生活中は人生でもっとも健康意識を高め、美味しい食事、適度な運動、深い睡眠を整えた生活を心掛けた上で、最大限の勉強時間の捻出に励みました。
誰にも自分の人生を代わってもらうことはできない、夢の確度を高められるのは自分だけ
6.5の頭打ちが続き、2023年後半から2024年の1月に達成するまでのほとんどは心が折れた状態でした。努力量に見合わぬ出来だった日は、1人でさめざめと泣きながらテストセンターを後にしたことも何度もあります。
でも自分がやめてしまったらそこでおしまいなことはよくわかっていました。ちなみにおしまいでも良いと思うのです。私の場合は頭では「もうやめたい」とブーブー言っていても、本当にやめようとしたことは1度もありません。それほどまでに海外大学院を卒業した後に叶えたい夢がワクワクするものだったからです。
どれだけ道のりが険しくても根本にあるのが“楽しさ”であることは精神面でも本当に大切で、そうでない場合は「なぜIELTSを頑張っているのか?(違う手段はあるのか?)」立ち止まって問い直してみることも、長期戦には必要だと思うのです。どうしてもスコアの上下にだけ意識が向いてしまいがちですが、その先に達成したいことを思い出すだけでも、次の日からがんばる気力が戻るかもしれません。
「今年中に出願できないかもしれない」という心配も、本心では自分の夢のためなら来年でも構わないし、この難攻不落を本能的に楽しんでいるのに、周囲の評価を考えたゆえに浮かんでくる心配ということがわかります。
曇りや利害、先入観を削ぎ落とした最後に残るのは、夢への純粋な欲求。自分と等身大になった「夢中」は、あらゆる不安と挫折、外的介入を凌駕します。私はこれからもきっと、夢中と不安という矛盾した感情の間を行き来しながら対処法のわからない恐れに出会い、その度に自問自答して本音に耳を傾けながら歩み続けていくのだろうと思います。
その上で、少しでも時間があると悩んだり不安になってしまうのが受験生ですが、その時間は1mmもIELTSのスコアや合格に繋がらないし、むしろ遠ざかる行為です。サボって自己嫌悪になって負のループを繰り返すよりも、淡々と「やる」ことが一番の精神安定剤だと気づきました。自己憐憫と反省は全く違うので悲観モードからの抜け出し方をいくつか持っておくといいと思います。私が受験期間中に決めていた行動指針10個についてのnoteもぜひ読んでください。
日本人のIELTSや英語学習は一夜漬けでスコアアップするものではありません。スコア達成へのたった一つの道は、分析と改善をやり続けることだと思います。世の中の英語サービスにはあたかも近道があるようなマーケティングメッセージが溢れていますが、それに踊らされる前に、始めてもないのに迷う前に、言い訳したくなる前に、「やる or やる」です!
私もさまざまな教材やサービスに手を出し、迷走することもありました。けれどその過程の中で、いらないものが淘汰され、自分に合った勉強法が残りました。最初から正解はありませんし、ハマる勉強法は人によって千差万別です。
①地道な努力を厭わず、でも②最短で成果を出すための高速PDCAという2つに向き合い続ければ、勝てるときが必ずきます。
孤独になりがちなIELTSとの闘い。ひとりだけど、ひとりじゃない!
IELTSや海外大学院の受験中、周囲に仲間が見つからなくて自分がとても孤独だったからこそ、「当時の私がいて欲しかった存在になろう」と思ってSNSでの発信を始めました。
IELTSや海外大学院受験のプロセスは非常に複雑で特殊です。0.5スコアをあげることがどれほど大変かはやってみないと私自身も分かりませんでしたし、時間が必要なことが周囲に伝わりづらくて、もどかしい思いをすることもあると思います。この感情を味わうと毎度「でも同じように、私だって知ることができていない分野で努力を積み重ねている人がたくさんいるんだ」と思いました。
だからこそ、SNSで同じように何かに向かってがんばる仲間とつながったり、IDPのセミナーに参加したりして、自分のメンタルを守ったり鼓舞できる環境を一緒に作っていきましょう。今、そばにそんな環境がない方も大丈夫。いつでも私を思い出して発信を覗きにきてください!私はこれからもSNSを通してIELTS達成までの道のりや大学院での奮闘や挫折をありのまま等身大で綴っていきます。
イベントに参加してくださった方も、この記事を今読んでくださっている方も、お会いできたその日から全員が人生の仲間だと思っていますので、みなさんのスコア達成とその先の夢の話を聞けることを楽しみにしています。私も皆さんの存在のおかげで涙が出る日も頑張ることができますし、一生かけてこの輪が広がったら良いなぁと思っています。
上平田蓉子さんのSNSはこちら Instagram|X|note
編集後記
7.5達成、本当におめでとうございます!信念を貫き、着実に、力強く夢に向かって進む蓉子さんの姿はかっこよく、その過程でIDP IELTSをご受験いただけたことを嬉しく思います。留学生活、思い切り学び、楽しんでくださいね。まだまだ続く蓉子さんの夢、応援しています!
From IDPスタッフ一同