ChatGPTって何?
まず、ChatGPTの特徴を解説します。
生成系AIツール
ChatGPTは「生成系」と呼ばれるAIツールです。その名の通り、文章やストーリーや画像といった様々なコンテンツを生成できるというAIです。
そしてChatGPTが画期的なのは、プログラミング等の知識は必要なく、「人間の言葉」で指示を出せる、というところです。
無料、または月20USドル
ChatGPTは基本的に無料のツールです。誰でもPCやスマホさえあれば使うことができます。ただ、精度やスピードがアップしたGPT-3.5やGPT-4といったモデルを使いたい場合は、月額20USドルを払う必要があります。(2023年11月現在)
シンプルだから可能性無限大
ChatGPTは白い画面に入力ボックスと履歴だけ、とシンプル。入力ボックスにどんな指示文を入れるか次第で、無限大に色々なことができるのです。
※ChatGPTについて詳しい情報や、始める方法は、こちらの記事をご覧ください。
Chat GPTでできるIELTS対策
語彙力アップ:IELTSでよく出てくる単語を使って、単語集を作ることができます。
文法を磨く:文法の解説をしてもらったり、問題を作ってもらうことができます。
IELTSリーディング対策:リーディングの練習問題を作ってもらったり、要約をしてもらうことができます。
IELTSリスニング対策:リスニングの練習問題を作ってもらったり、おすすめの学習サイトを教えてもらうことができます。
IELTSスピーキング対策:スピーキングの練習問題を作ってもらったり、模試ができます。
IELTSライティング対策:ライティングの練習問題を作ってもらったり、英作文練習ができます。
今回は、このうち、ライティング対策についてフォーカスしていきます。
IELTSライティング対策
前半は、ChatGPTとは少し離れますが、まず一般的なIELTSライティング対策について説明します。エッセンス(重要なところ)だけ、ご紹介いたします。
ライティング対策の4つのポイント
採点基準を知る
まず優先はTR/CC
語彙と文法対策
添削→分析→トレーニングのサイクルを回す
それぞれについて、詳しく見ていきます。
1. 採点基準を知る
IELTSのライティング解答は、人間の試験官が採点しています。しかし、適当にスコアを決めているわけではなく、きちんとした「採点基準」に基づいてスコアを決めるようにトレーニングをされています。
そして、私たち、IELTSを受験する側は、もちろんこの採点基準=どのようにしてスコアが決まるのか、ということをしっかりと知っておき、それに基づいて解答を作っていかなくてはいけないわけです。
さて、下記がIELTSライティングの採点基準です。大きく4つあります。
課題の達成度(問題に答えられているか)*通称TR
一貫性と論理性 *通称CC
文法
単語・語彙
※タスク1と2で少しだけ異なりますが基本的な考え方は同じです。
2. まず優先はTR/CC
さて、4つの採点基準のうち、まず目が行ってしまいがちなのは③文法と④単語、なのですが、これは実は後回し。まず優先はTR(問題に答えられているか)、CC(一貫性と論理性)です。
これらの項目は、試験官が解答を理解するのに肝になることです。日本で教育を受けた人は、エッセイ(論文)を書く機会があまりないのでピンと来ませんが、まとまった文章を書く時には、「構成」が非常に重要な要素になってきます。
これを先にやらずに文法や単語だけ凝ったものにしてしまうと、目標スコアに近づくのが少し難しくなってしまいます。逆に言うと、単語や文法力はそのままでも、TR/CCを整えるだけで、6.5くらいまでいく人が多いのです。
さて、このTR/CCという項目は、どのようにしたら満たすことができるのか? ポイントは、3つです。
問題を何度も読む
これは言わずもがな、「問題に答えられているか」という項目を満たすためです。「問題に答えるって当たり前じゃないか」と思うかもしれませんが、高い確率で問題の読み間違いが起こります。そのため、「理解できた」と思っても、2~3度は読み返してから書き始めましょう。
アウトライン(メモ、プランニング)を書く
解答用紙に本文を書き始める前に、「何を書くのか」ということをメモしておきます。これにより、書き始めてから論旨がどんどんブレていってしまうのを最低限におさえることができます。
ストラクチャー(型)に当てはめる
「一貫性と論理性」はすごく難しいように思えます。何となく解答用紙に向かって書き始めると、間違いなく論旨が破綻します。自分では一貫して書いているつもりでも、いつの間にかずれているのです。
そのため、日本人のIELTS学習者には、「ストラクチャー」を使うことを強くおすすめします。ストラクチャーとは、「どこに何を書くか」という「型」のことです。私もIELTSライティングの指導する時に、生徒さんには必ず、私が開発したストラクチャーを使ってもらっています。
ストラクチャーの説明は私の講座でもかなりの文字数を割いて説明しているものなので、ここではかなり簡略化してお伝えします。
IELTSライティングは、4パラグラフ(段落)を書くのが基本です。
Task 2の場合は、この4パラグラフを
イントロ
メイン1
メイン2
結論
のように振り分けます。
メインパラグラフは、それぞれ、「結論→理由→具体例」を2回繰り返します。イントロと結論パラグラフは、ほぼ定型文に近いもので良く、一番時間と労力を割くのは2と3のメインパラグラフ。
問題に沿った答えを、このストラクチャーに落とし込み、アウトラインの時点でしっかりと構想を練っておくことが大事です。
3. 語彙と文法対策
TR(問題に答えられているか)とCC(一貫性と論理性)ができるようになってきたら、そこではじめて、語彙と文法の対策に取り掛かります。
しかし、ここでも陥りがちな落とし穴があります。「難しい単語」「難しい文法」を無理に使う、というものです。IELTSは、とにかく難しい単語を使っておけばスコアがあがる、というほど甘くありませーん!
とにかく数を増やそう、とばかりに新しい単語の意味を覚えていくのではなく、持っている単語をしっかりと正しく「使えるように」していくことが大事です。そのためには、単語は例文を含めて覚えることをおすすめしたいです。
また、文法に関しては
間違いを少なくする(ゼロにする、ということではありません)
様々な構文を使う
いうことが必要です。比較級・仮定法・分詞構文・無生物主語など、少しハイレベルの構文が書けると良いです。
長期的には、多読が一番良いのですが、短期的には、模範解答の書き写しなども良いです。機械作業にならないように、構文や単語を意識しながら行ってみてください。
4. 添削→分析→トレーニングのサイクルを回す
最後のポイントとして、漫然と問題を解くのではなく、サイクルを回していくことが大事です。ここで注意するべきことを挙げておきます。
IELTSの採点基準を熟知している人、できれば日本人に添削を依頼
フィードバックをもとに自分の解答を分析、弱点をあぶりだす
そういった弱点を補強するトレーニングを行う
添削は、英語のネイティブスピーカーに頼む人も多いのですが、いくらネイティブとはいえ、IELTS試験について知らなければ、文法の正誤についてしか判断できません。IELTSの採点基準をしっかりと知っている人に頼むことを心掛けましょう。
ChatGPT × IELTSライティング
では、IELTSライティングの重要ポイントを知ったところで、ChatGPTを使ったIELTSライティング対策に入っていきましょう。
練習問題を作ってもらう
まずは、IELTSライティングの練習問題をChatGPTに作成してもらいましょう。
プロンプト:
IELTSライティングタスク2のような問題を作ってください
Point:例題を付け加えると理解してもらいやすいです。例えば公式問題集からライティングの問題を取ってきて、プロンプトの下に入力し、「こちらの例題のようにお願いします」と付け加えると良いでしょう。
※実際のIELTSライティング問題とは異なることもあるので、あくまでも練習用となります。もし絶対に本番形式に沿ったもので練習したい場合には、公式問題集をお使いください。
※アカデミックライティングのTask 1は図表が問題に含まれるのですが、ChatGPTがこういった図表を作ることは、現時点ではできません。
模範解答を作ってもらう
作ってもらった問題に対する模範解答と、その日本語訳も作ってもらいましょう。
プロンプト(問題作成の応答の後に):
上記の問題に対する模範解答をお願いします
模範解答の日本語訳をお願いします
※問題作成の時と同じスレッドを使いましょう。
文章を変更・追加する
模範解答のレベルが高すぎると思ったら、自分でも使えるようにするために、少し英語のレベルを落としてもらいましょう。
プロンプト:
もう少しシンプルな英語にしてください
添削をしてもらう
問題に対して作った自分の解答を、ChatGPTに添削してもらいましょう。
プロンプト:
『下記の英文を添削してください』+自分の解答を貼り付け
その他プロンプト
文法間違いを一覧にしてください
改善すべき点や、これからの学習についてアドバイスをください
※IELTSに適した(採点基準に沿った)添削やフィードバックはくれません。なので、IELTSを知っている講師の添削サービスと併用するのが良いでしょう。自分の解答を添削サービスに提出する前や後にChatGPTにも重ねて添削してもらうと、かなり良い勉強になります。
良い表現を教えてもらう
プロンプト:
下記の英文をより良い/アカデミックな表現に書き換えてください
リファレンスレターの書き出しで良い英語表現を教えてください
Point
日本語→英語への訳を頼まないこと。ChatGPTは翻訳の能力は低めなので、文章をそのまま訳してもらうのではなく、状況を箇条書きなどで伝えて表現を教えてもらう、というほうが良いものがもらえます。
書き換えを頼む場合は、「語数をだいたい同じで」と指定すると、過剰に上級な英文にならずに済むことが多いです。
ChatGPTを使ってライティングスキルを伸ばす
瞬間英作文のトレーニング
瞬間英作文は日記のトレーニング法ですが、これをChatGPTを使って自分で進めていくことができます。ChatGPTがランダムな日本語の文章を表示してくれ、さらに指定すれば添削もしてもらうことができます。
プロンプト:
瞬間英作文の練習をしたいのでランダムに日本語の文章を出してください。私が答えたら、また次の日本語の文章を出してください
I want to practice creating English sentences. Please give me a random Japanese sentence. When I answer, please give me another Japanese sentence.
※日本語でプロンプトを出しても、あまり思った通りに動いてくれないことがありますので、そういった時は上記のような英語でプロンプトを出してみましょう。
変更・追加する
しばらくやり取りをした後に、下記のようにプロンプトを出すと、間違いを指摘してもらうことができます。
プロンプト:
文法間違いを一覧にしてください
Chat GPTを使った英語日記
英語日記も、昔から人気の英語学習法です。これをChatGPTを使って進めると非常に便利です。ChatGPTと一番相性が良い、と言えるかもしれません。
ChatGPTにまずお題を出してもらい、書いた日記を添削してもらいましょう。
プロンプト:
私は英語初級者です。英作文の練習をしたいです。簡単に書けるようなお題を教えてください
『下記の英文の間違いを指摘して、良い言い方があれば提案してください。』+自分の日記を貼り付け
さいごに
前回のセミナーおよび記事では、ChatGPTを使ったIELTS対策全体についてご紹介しましたが、今回はIELTSの「ライティング」にフォーカスしました。IELTSの4技能の中でも苦手な人が多いライティング、そして今話題になっているChatGPTがテーマということで、セミナーにも100名以上の方にお申込み・ご参加いただきました。
英語学習全般に、とても便利に使えるChatGPTですが、特にアウトプット技能、つまりライティングやスピーキングのサポーターとして抜群の力を発揮します。
ChatGPTをうまく独学に取り入れて、プロ講師のサービスと組み合わせることで、理想的な形のIELTS学習を進めていくことができるでしょう。
ぜひ、この記事を参照して、ChatGPTをうまく活用してIELTS対策を成功させてください。
IELTS対策を独学で進める方法や、IELTS学習の始め方、4技能それぞれの勉強法を、7日間の無料メール講座にて詳しく解説しています。IELTS対策を模索している方や留学、海外移住をお考えの方にお勧めです。
私の公式サイト「Kumikoの英語道」では、IELTS対策ほか、英語力を伸ばす方法や英文法について、まさに「英語の道を極める」というコンセプトで色々な情報や考え方を発信しております。ご覧いただければ、英語学習の一助となるかと思います。
記事を書いた人:中林 くみこ先生(IELTS講師/起業家)
カナダで語学学校を起業、10年経営
5,000人以上にIELTSを始めとする英語指導
カナダで初めて日本人特化のIELTSコースを設立
明日香出版社よりIELTS対策本を出版予定
現在、IELTSオンライン講座を主宰・指導
「AI×英語学習」のテーマで教育機関や企業でのセミナー
※本記事は2023年8月23日のオンラインセミナーを元に作成しました。