講師紹介
Hiro先生
東京学芸大学教育学部英語科卒業。 公立高校4年間と私立高校5年間で英語科専任教員として勤務。 現在は塾長、高校教員としてIELTS指導を行っている。
※本記事は2022年9月15日のオンラインセミナーを元に作成しました。
①IELTSの単語帳を使おう
リーディングで6.5を目指すのであれば、市販のIELTS専用の単語帳を使ってください。
長文などに出てきた知らない英単語を自分でノートにまとめて覚える方法もありますが、僕はあまりよい勉強法とは思っておりません。単語には「IELTSによく出る単語」と「そこまで出ない単語」があり、頻出度が低い単語を一生懸命覚えても時間がもったいないからです。IELTS専用の単語帳を使えば、頻出度が高い単語から効率よく覚えられます。
基本的な頻出単語を覚え切った段階であれば、自分で単語をノートにまとめて覚える方法でもよいと思います。
まずは「意味」と「発音」を覚える
単語帳には、英単語の意味、発音、スペリング、コロケーション、派生語がまとめて掲載されています。リーディングにおいて必要なのは「意味」と「発音」です。発音はリーディング対策に欠かせない音読で必要になります。
スペリングや派生語などを同時に覚えようとすると脳に負荷がかかりすぎます。「スペリングも一緒に覚えるぞ!」と意気込んでも、大抵の人は途中で挫折してしまいます。
意味と発音を覚え切った後で、スペリングも覚える、という感じに段階を踏んで取り組んでください。
効率のよい覚え方を3ステップで解説
英単語は「夜寝る前」に覚えるようにしてください。寝る前に単語学習をすることで記憶に定着しやすくなり、繰り返すことで脳が重要な情報だと判断してくれます。
寝る前に単語帳の1〜50を覚える場合の流れを3ステップでご紹介します。
STEP 1
各単語をパッと見て、2秒以内に意味と発音を答えられるか自分でテストをします。答えられた単語は飛ばせるように、しるしをつけておきます。
STEP 2
答えられなかった単語の意味と発音を覚えます。発音は聴いて覚えてください。
STEP 3
翌日の午前中に1〜50の単語を覚えているか、再テストします。
1週間の学習スケジュール
有名なエビングハウスの忘却曲線でも言われているように、時間が経って忘れてしまう前に、覚えた単語を復習することが大事です。そこで「4日暗記・2日復習」のスケジュールをおすすめします。以下の表を参考にしてください。
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 | |
朝 | 1~50 | 51~100 | 101~150 | 151~200 | |||
夜 | 1~50 | 51~100 | 101~150 | 151~200 | 1~200 | 1~200 | (1~200) |
月曜日の夜から覚え始めた場合、金曜日の夜から週末にかけては1〜200の総復習にあてます。覚えられるペースには個人差があるので、1日25単語、または100単語など、自分のキャパシティーに合わせて計画を立ててみてください。
加えて、短期記憶した単語を長期記憶へと移すために、2・4・6・8週間後に再度1〜200の総復習をしてください。
②文法知識をつけよう:おすすめの2冊
単語学習と並行して行ってほしいのが文法学習です。そこで、おすすめの参考書がこちらです。
大学入試肘井学のゼロから英文法が面白いほどわかる本音声ダウンロード付単行本
リーディング6.5を目指すのであれば、この1冊をやるだけで十分だと思います。中学〜高校1年生くらいの難易度で非常に簡単です。
IELTSのリーディングテスト対策においては、英文法にそこまで詳しくなる必要はありません。たとえばwhoやwhichが関係詞としてはたらく、程度のことを知っていれば読む分には十分です。スピーキングやライティング対策になるとwhoやwhichの使い分けも知っておく必要がありますけどね。
また、わからない文法を参照する際におすすめなのが以下の1冊です。
③構文解析能力をつけよう:おすすめの1冊
基本的な単語と文法をおさえたら、構文解析の勉強に進みます。長文読解が苦手な人は以下の1冊から始めてください。
大学入試肘井学の読解のための英文法が面白いほどわかる本必修編音声ダウンロード付単行本
英文にSVOCをふって構文解析の練習ができます。構文解析ができない/単語を知らない状態で長文読解に入っても非効率なので、まずは本書の内容をしっかりと理解してください。
④背景知識をつけよう:おすすめの問題集
構文解析ができるようになったら、大学入試問題集のポラリスを使って長文演習をしていきましょう。
大学入試問題集関正生の英語長文ポラリス(1 標準レベル) (.) 単行本
環境問題やジェンダー問題など、大学入試で出題される問題と、IELTSで出題される問題は似ていることが多いので、本書が役立ちます。
問題集を使うときのポイント
問題を解いたら終わりではなく、しっかりと使い倒すことが大事です。問題集を使うときは以下のステップで進めてください。
STEP 1 問題を解く
STEP 2 全文を構文解析する
STEP 3 リピーティングをする
付属の音声を聴いて、後に続いて発音します。
STEP 4 音読をする
音読のメリットは、英文を英語本来の順序で前から理解する力がつくことです。リスニング対策になることはもちろん、読む速さが上がるのでリーディング対策としても効果的です。
STEP 5 オーバーラッピングをする
音声にかぶせて発音するオーバーラッピングのメリットは、音声の速さに合わせて理解する力がつくことです。音読は自分の好きな速さで読むことができますが、オーバーラッピングでは音声の速さに合わせて理解・発音する必要があります。
STEP 6 シャドーイングをする
シャドーイングでは、文章を見ずに音声に続いて発音します。シャドーイングまでできれば、リーディング力とリスニング力、共にかなりの力がつくでしょう。
公式問題集の活用
IELTS特有の問題に慣れるためには、公式問題集を使った練習も効果的です。
まずは60分時間を計って解いてみてください。時間が足りなかった場合は丸つけをせずに、もう20分間延長して解いてください。60分で解いた部分と、延長20分で解いた部分がわかるようにしておくと、見直した際わかりやすいです。
丸つけをした後は解答の根拠を探し、わからなかった単語は意味を調べましょう。ここで調べた単語を覚える必要はありません。単語帳をしっかりやった上でわからなかった単語は、頻出度が低い専門単語である場合が多いからです。
そのあと、構文解析をやり、音読やオーバーラッピングができれば理想的です。
問題集を何冊も買わない!
上記で紹介した方法を試してもリーディングのスコアが伸びない人は、回数が足りていないことが原因だと思います。1つの長文に対して、リピーティングは5~10回、音読は30回やってください。音読を数回やって、やった気になっているだけではスコアは伸びません。
1冊の問題集を1周してすぐに新しい問題集を買う人もいますが、別の本に浮気をせずに1冊を何周も使い倒してください。IELTS6.5を目指すのであれば、あまり多くの参考書や問題集は必要ありません。
⑤IELTSリーディングテスト特有の問題の解き方を知ろう
最後に、IELTSリーディングテストの問題を解く際に意識するべきマインドセットを紹介します。
問題を先に読み、答えを探しに行く
大学入試やTOEFLでは長文全体の理解が問われますが、IELTSでは基本的にマクロではなくミクロな内容の理解が問われます。長文全体をざっくりと理解するだけでは解きづらい細かいことが問われるため、1問1問、問いの答えを長文内に探しに行く意識をもってください。
リーディングテストはあくまでも試験です。試験の目的は本文を端から端まで読んで理解することではなく、問題に正解することです。長文を全部読んでから問題を見る人もいますが、長文→問題→長文と見返すはめになり、時間の無駄になってしまいます。
また、パッセージ内で問1の答えが出ていない段階で問2の答えが出ることは基本的にありません。やはり1問1問、問いを読み、その答えを長文の中から探し出してください。
合計13問は間違えてもよい
6.5を狙うのであれば、全部で13問は間違えてもよい計算になります。満点を狙う必要はないので、1問あたりに時間をかけすぎないようにしましょう。
1問にたくさんの時間を費やして、しかもその1問が正解かどうかもわからない状態で、後ろの問題が解けなくなるのでは本末転倒です。少し考えてわからなかった場合は諦めて、選択問題だったら適当にABCを付けて、先に進みましょう。
パッセージ1→2→3と難易度が上がるわけではない
公式問題集はパッセージ1→2→3と徐々に難しくなる場合が多いのですが、本番のIELTSはそうとは限りません。パッセージ1より、2や3の方が簡単だったこともあります。パッセージ1が難しかったら適当に切り上げて、パッセージ2に進みましょう。
まとめ
IELTSリーディングテストで効率よく6.5を目指すための5つの対策はおさえられましたか?今一度おさらいしましょう。
IELTS専用の単語帳を使おう
リーディングに必要な文法知識をつけよう
構文解析能力をつけよう
問題集を使い倒して背景知識をつけよう
IELTS特有の問題の解き方に慣れよう
セミナーの後半では、IDPの公認問題集を使って実際のリーディング問題を解くテクニックなども解説してくださいました。
今回はリーディング対策のみでしたが、Hiro先生はIELTSに関するさまざまな対策情報を配信されています。詳しくはHiro先生のTwitterアカウントをご覧ください。