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英語は当たり前だと思っていた幼少期

千葉県出身で幼少期からディズニーランドによく連れていってもらっていました。漢字が読めるようになるのと同じように、パーク内で流れる英語のアナウンスも大人になれば自然とわかるのだと思っていました。このような勘違いから僕の英語人生はスタートしていたのかもしれません。

千葉県市川市の公立小学校に通っていた際は、先生にも友人にも恵まれ学校大好きな子どもでした。特に小学校に併設されていた保育園に遊びに行くのが好きでした。卒業文集には幼稚園の先生になりたいと書いていたので、先生への憧れはこの頃から持っていたのだと思います。スポーツや音楽などに没頭するような子ではなかったので、「やりたいことがないなら勉強しておきなさい」と親に勧められて中学受験をして開成中学校に進学しました。

英語で生きると決めた中高時代

中学に入学するまで、週1で英会話教室には通っていましたが、ほとんどの英語学習は中学校の授業でやりました。学校での成績は中の中。英語は得意でも不得意でもなく、高校2年の時にようやく英検2級に合格するレベルで、古典の成績の方が良かったくらいです。

ただ、ディズニーや当時ハマっていたハリーポッターやワンダイレクションなどのイギリスのエンターテインメントについて、英語で発信される生の情報にいち早くアクセスしたい、日本語に翻訳されたものを待っていては世界のファンに遅れをとりたくない、という気持ちはありました。英語を通して見える世界への「好き」が英語学習の原動力になっていたことは間違いありません。

そして大学受験は自分の甘さを痛感する機会になりました。当時の自分は、教員になりたいとは思いつつも、教える教科を決めきれていなかったので、入学後に自分の専攻を選ぶことができる東京大学に進学しようと考えていました。しかし様々な受験科目の勉強をする中で、英語ならずっと学び続けることができると感じ、高3の秋頃には英語の先生になろうと考えるようになりました。中高の英語の先生の多くが東京外国語大学出身であったため、東京外国語大学に行きたい気持ちが強くなり、東京大学と東京外国語大学の両方を受験することにしました。志望校を強い気持ちで志望できていない、腹が決まっていない状況だったからか、東京大学には合格できず、後期試験でどうにか合格をもらえた東京外国語大学国際社会学部に進学しました。

交換留学を目指してIELTSと出会い、カナダ、イギリスへ留学

大学では英語を専攻言語として、言語学、文学、教育学などの学術的な視点から学び、英語という言葉、その言葉を通して見える世界、言葉を教える楽しさと難しさに魅了されていきました。その一方で、英語の教員になるからには海外、特に英語圏で生活する経験を語れるようになりたいと思い、交換留学を目指しました。

交換留学を実現するために英語力を証明する試験を受ける必要がありました。当初は高校時代からなんとなく耳にしていたTOEFLを受けていましたが、目標としていたカナダのブリティッシュ・コロンビア大学への交換留学に必要な基準に、どうしてもスピーキングが1点届かずに苦労していました。TOEFLは3回受験したのですが、結局は目標の点数に届かず困っているときにIELTSを知りました。スピーキング試験がコンピューターでの録音ではなく、試験官との対話で行われること、ライティング試験がタイピングではなく、手書きで行われることが自分に合っていたと思います。IELTS初受験でブリティッシュ・コロンビア大学への交換留学の基準であった6.5を取得することができ、交換留学を実現しました。

カナダでは、教授や友人との出会いに恵まれ、TESL (Teaching English as a Second Language)のプログラムに誘われ、TESLの資格を取得しました。教育実習の授業にも参加し、異国の地で、英語教育を学びに世界中から集まった学生と協力しながら、自分と同じような留学生に英語を教える経験はとても貴重なものでした。

カナダ留学中に日本とは異なる学習観、学習環境、異文化で生きるワクワク感に惹かれ、海外の大学院への進学を考えるようになりました。海外大学院への出願で使えるようにと、交換留学を終えてから受験したIELTSで7.5を取得し、「7.5を取得したらIELTSは卒業」という嶋津先生の教えの通り、IELTSは卒業しました。

海外大学院進学への準備を進めつつ、カナダ留学前から気になっていたタクトピアでELT (English Language Teaching)インターンとして英語教育の実践に触れたり、公立中学校で外国から来た子どもたちへの日本語指導にも携わったりして、言語教育の現場経験を積ませていただきました。

そのような経験を基に、2019年にイギリスのユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)の教育学修士(MA Education)のコースへ進学しました。UCLでは、答えがなく物議を醸すような問いを扱う際の教授法や、心理的な側面を含めた子どもの「居場所」について研究しました。

IELTS and my teaching career 3.1 - Japan

留学先での経験から、「気持ちを伝えられる英語」の授業を目指す

今は母校、開成中学校・高等学校で高1の担任をしています。彼らとは中1から持ち上がってきたので、4年目の付き合いになります。着任した当初から留学先で使える英語力を身につけさせたいという思いがあり、自己表現できることに重きを置いています。言葉のルールに従わされるのではなく、自分の意見や気持ちを表現するために言葉を使いこなす、そんな風に言葉と付き合って欲しいと願い、授業をしています。

中1ではケンブリッジ大学出版のEssential Grammar in Useで自己表現に必要な文法を導入しつつ、ピアソンのSpeakoutというテキストをベースに‘I think … because ….’ の形で身近なトピックについて自分の意見を言う練習から始めました。表現できることが少し広がった中2では、自分がハマっている「推し」についてプレゼンする「推し活プレゼン」をやりました。中3では、書き言葉での論理展開と論理的な表現方法を学ぶために、ケンブリッジ大学出版のUNLOCKを基にアカデミックライティングの授業をして、100~200語の様々なタイプのエッセイを書く練習をしました。高校1年になった今年度は、英語運用能力の訓練ではなく、いよいよ英語を通して学ぶことに挑戦しようと、少し背伸びですがオックスフォード大学出版のVery short IntroductionsシリーズからThe English Languageという洋書を使って、英語史や社会言語学のトピックを英語の授業の中で扱っています。

英語を教えていて嬉しい瞬間は、やはり生徒が海外でも自分の考えを表現し、気持ちを伝えられたと教えてくれた時です。夏休みに海外の高校や大学のサマープログラムに参加してプレゼンができた!ハマっているゲームを友達に紹介して、帰国した後も一緒にオンライン対戦している!といった話を聞くと、努力が実った、報われた気持ちになります(努力したのは生徒ですが笑)。最近ではIELTSに興味を持って勉強している生徒もいて、彼らの相談に乗っています。授業で扱ったアカデミックライティングの書き方や、英語の論理の読み解き方が彼らの力になっていることが実感できる瞬間でもあります。

自分が留学やIELTSを通して学んだことが授業に反映されて、生徒がそれを活かして留学やIELTSに挑戦してくれる。そのような循環があり、生徒が自分の後に続いてくれるのは、教員としてとても励みになると同時に、自分を越えてもっと大きくなってほしい、もっと教えたい、という気持ちにもさせてくれます。

世界を見て自分が輝ける居場所を見つけてほしいという願い

各地で紛争、戦争が起こるほど、世界はひとつになっていない、というのが現実です。しかしそれは、日本から見えているものが、世界の全てではないということの裏返しでもあると思います。だからこそ、生徒たちには、自分が本当に輝ける場所、認められる場所を、世界を見て探してほしい、もし面白そうなものを見つけた時には、臆せず飛び出し自分を表現してほしい、そう願って英語を教えています。

Para - IELTS and my teaching career 3.3 - Japan